最近、「少し前に話題になり、読もう読もうと思っていたけれど積んだままにしていた」新書ばかり読んでいる気がする。
ムーブメントが過ぎ去ってから落ち着いて読む新書というのも、これはこれで楽しいものではあるのだが。
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本書は、筆者も本文中で「大げさに書きたてた」と言っているように社会学風の<物語>である。大なり小なり社会学というものには物語があり、そこから帰納的に理論を述べていくものであるかもしれないけれど、私は社会学についてきちんと教育を受けたわけではないので物言いはこの辺にしておく。
戦後直後の歴史から出立し、メディア論や地方社会論を絡めつつ「何故最近のラーメン屋は手書きでポエムを書いて作務衣をきているのか?」という疑問への解答を見出していく流れはなかなかに爽快で快楽がある。
そうしてまた、本書は高度経済成長期前後から平成末期に至るまでの大きな流れを記述したクロニクルとしても読める気がするのだ。そうそう、そういえばこの時こんなことあったよね、などと頷きつつ読むような。
平成が間もなく終わる今にこそ、この年代記を振り返るように読んでみるというのはどうだろう。
これはもう、本書の主題から大きく逸脱してしまう振る舞いではあるけれど、テクストというものは開かれているのだし。