あめみやしろぐ

お仕事(院内SE)のことをかいたり思いついたことをかいたりします。

【読書】「あと一歩」が足りない気がするー自衛隊の闇組織ー

タイトルで心つかまれ、手にとってしまった。

共同通信社の記者である著者が2013年にリリースした記事の取材過程とその背景を記述したレポートであり、興味深くはあるけれど非公然の諜報機関であるという「別班」の存在そのものに深く切り込んだかというと疑問符も浮かんでしまい、何か消化不良な気分になってしまう一冊であった。

もっとこう、心理戦防護課程の訓練内容とか詳しく知りたいぞ。名前だけでもぐっとくるではないか。「心理戦防護」って。

先の大戦のことに纏わる本を読んだり調べたりすればするほど、軍部に対して政治側がブレーキをかけることができず暴走していったことが明らかな反省点であって「シビリアンコントロール文民統制)」というものの重要性がわかってくる。

著者は「別班」の存在こそが「シビリアンコントロール」に対する重大な挑戦であることを繰り返し主張する(ここについては私も同意したい)のだけれど、その筆致の後ろに著者の明瞭な政治姿勢が見えてきて、人によってはここに引っかかりを覚えてしまうかもしれない。

とはいえ、本書にかかれる限り「別班」の存在の明瞭な立証というものはされておらず*1、あくまで「証言」に依拠しているだけなのがモヤモヤを増幅させてなぁ。バレたら「自衛隊」という組織そのものが吹っ飛びかねないようなものをいつまでも抱えているものかなあ。

*1:もしかしたらすでに物証のようなものを著者は手に入れているのかもしれない。あるいはそう簡単に存在を立証できるようであればそれは秘密組織ではない、とも言えるけれど。