あめみやしろぐ

お仕事(院内SE)のことをかいたり思いついたことをかいたりします。

【読書】不可解なものへの優しい眼差しーオカルト・クロニクル

大学では(卒業していないが)工学部という理系学部に在籍していたため、幽霊とかUFOとかオカルトめいたものに対して興味がない人間だと思われがちな私だが、実のところそういったものは大好物である。「洒落怖」とか暇を見つけては読んでしまう

ーーだいたい話がパターン化してくるので、あそこの話の大部分は民俗学をかじった人間による創作だと思ってるけど。

 

オカルトめいたものを信奉しているわけではない。しかし科学というものは常にその時その時で「もっとも確からしい仮説」をアップデートすることによって発展してきた。

今現在の「もっとも確からしい仮説」がいつの日かアップデートされ、幽霊やUFOやUMAの存在が立証されるかもしれないではないか……たいていにおいて説明がされてしまい、あるいは自分の中でも説明ができてしまい、がっかりしてしまうのだけど。

 

オカルト・クロニクル

オカルト・クロニクル

 

 

本書は『オカルト・クロニクル』というサイトにて公開された原稿のいくつかに加筆・訂正がなされたものだ。

okakuro.org

 

目次からしてそそられる。

昨年『死に山』という書籍でも話題になったディアトロフ峠事件、『完全自殺マニュアル』で自分はその存在を初めて知ったの「熊取町7名連続怪死事件」、未解決事件スレで定期的に登場する「井の頭公園バラバラ殺人事件」に「長岡京わらび採り殺人事件」。「良栄丸事件」もとりあげられている。

興味がある人間であればどこかで耳や目にし、慄きつつも読み続けてしまったこれらの事件について極めてフラットな立場から記述されている。ここにはどこか、慈しみの感情すら覚えてしまうのだ。

この慈しむような眼差しは、前書きに書かれた以下の文章に現れてくるかもしれない。

デタラメや誇張、デッチ上げや捏造、それらを排したーー懐疑的視点を乗り越えた先にある「本物」の探求にこそ、信奉者(ビリーバー)たちはタフなロマンを持ってほしい。信奉者の敵は懐疑論ではなく安易な否定論なのだから

(P.05)

この言葉は、とてもとても優しいものだと思えるのだ。