エンドユーザとの遭遇
SIerとはいうものの、専ら客先常駐ではあったし、名乗る社名は自社のものではない。当然名刺はないし自社に戻るのは月に一回程度……というのがこれまでの自分であったのだが、ともあれ技術者の端くれであったし周囲の人間も当然のように技術系だった。Windowsの基本操作なんて「できて当然」という世界にこれまで生きていたわけなのだけど、世の中には「出来て当然」は当然でない、という世界がまた存在するのだ、という真理を突き付けられる昨今である。
社内(院内)SEという肩書ではあるものの、ヘルプデスクめいた問い合わせ対応も業務の範囲に含まれる。
例えば「メールがみられない」という漠然とした問い合わせを受ける。
よくよくヒアリングしてみると「デスクトップにOutlookのショートカットがない」という結果だったりする。
Windowsのスタートメニューというものは開かない、デスクトップにあるものが全て。
エンドユーザのリテラシーというものはそのくらいなのだ、ということこそがこの仕事を初めてからの最大の気づきだったかもしれない。
そうしてここに至ってようやく気がつくのだ。メーカのサポートデスクの人々が覚えているだろう深いストレスに。