あめみやしろぐ

お仕事(院内SE)のことをかいたり思いついたことをかいたりします。

「ネットワークスペシャリスト」合格記

今年の秋試験でネットワークスペシャリストを受験し、本日合格発表だったのだけど確認したところ無事に合格していた。

成績はどうあれ合格は合格である。報奨金ゲットだぜ。

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大学受験のように点数の高い順から並べていって定数を満たしたら合格、と言った方式であるとか、試験の席次次第で合格後の待遇が変わるようなものならより高い点数を目指すべきだろうけれど、情報処理技術者試験のように合格基準が明記されているような場合は成績はどうあれ合格基準点以上を取ればいいので気が楽だ。

 

というわけで今回は自分の勉強方法を記載していく。

冒頭の成績をみていただければわかるように、これはあくまで「最低限」であり、時と場合と運次第ではうまくいかないかもしれない。参考になれば幸いである。

前提

筆者のスペックは以下の通り。

・大学は工学部出身(ただし非情報系学科)であるので一応は理系になるだろう。ただし卒業はしていない(大学中退である)。

・IT業界に入って10年程度経った。

・現在は社内(院内)SEとして仕事をしているが、以前はデータセンタで監視・運用・保守のオペレータなどをしていた。

・現職に就いてからこれまでにメールサーバ更改に伴う設計・構築、ネットワーク更改に伴う設計などに取り組んだ。ポジションとしてはセキュリティ担当兼インフラ担当である。

・以下の資格を保有している。

 ・基本情報技術者

 ・CCENT*1

 ・情報セキュリティマネジメント*2

 ・情報処理安全確保支援士(昨年合格した。)

 「情報処理安全確保支援士」の合格記については以下に。
amemiyashiro.hatenablog.com

学習計画

現在通勤に約1時間かけている。往復で約2時間だ。

5(営業日)×2(時間)=10時間。

土日には各々5時間程度学習時間に割り当てられるとして10時間。

1週間で20時間。月に約80時間の学習時間が取れる、という想定である。

試験本番まで3ヶ月として240時間は学習時間としてとれる(だろう)と考える。

 

240時間という数字が多いのか少ないのかはわからない。自分にはこれまでの多少の積み上げがあるので妥当かとも思う。全くの実務未経験、といった場合はここからさらに時間を積み上げる必要があるかもしれない。 

 

平日は基本的に通勤電車の中で教科書を読む程度である。

余裕があれば昼休みや自宅でも勉強をする。

土日は地元の市立図書館に自習室があるためそこを利用する。

自宅での学習というものは割り込みや誘惑が多く、なかなか集中できないものだ。

午前対策(インプットと演習)

試験というものはどのようなものであれ、知識をインプットしそれを利活用して制限時間内に回答を出す、というものだと思う。インプットがなければどうにもならないだろう。

幸い、昨年「情報処理安全確保支援士」に合格していたため午前Iについては免除されている。今回はネットワークスペシャリストの範囲に絞り込んだインプットができそうである。

 教科書として最初に以下の書籍を購入した。 

家についてから「これはどちらかといえば午後対策の本だ……」と気がついた。

本書は設計、信頼性、性能…といったトピックで構成され、解説がされるという形になっている。基礎知識が身についていることを前提とした上で解説がされることも多いため初学者には厳しいかもしれない。

基礎知識を習得するため「基礎編」という形でpdf版が配布されているのだが、記述がやはり硬質である。*3

午後対策を進める上で本書に習得されている過去11年分の過去問解説はありがたいのだが、一旦脇に置いておく。

基礎知識の再確認として以下の本をまずは通読することにした。

テキストを読み進める際には自分がキーワードだと思う点を蛍光ペンでマークしていくようにした。

インプットと並行して、以下のサイトで演習を繰り返した。

ネットワークスペシャリスト過去問道場|ネットワークスペシャリスト.com

上記サイトはスマホからでも確認・演習ができるためちょっとした隙間時間にも学習を進めることができる。

 

また演習の解説で出てきた単語や解説などについても「合格教本」に記述がないか調べ、記述があった場合はそこもマークする。

インプットと演習の繰り返し。ここまでに約1ヶ月。 

午後対策(ひたすらのアウトプット)

過去問道場でもコンスタントに8割程度とれるようになったところで午後対策に移る。

まずは先出の「うかる!ネットワークスペシャリスト」を読む。そして各章末問題を解く。解説を読む。納得がいかなければ「ネットワークスペシャリスト合格教本」やネット上の解説サイト……例えばネスペイージス:ネットワークスペシャリストWeb教科書、Web参考書などを読む。とにかく解説を読む。読み込む。次の章に移る。章末問題を読む……この繰り返しである。

問題を解くとき、状況が許す限り紙に書き込む形で解くようにした。

文章を手書きする、という体験自体が最近は薄れている。その「感覚」のようなものを本番までに取り戻す、という意味合いもあるし何より手を動かすとより頭に入ってくる、ような気がしている。

午前試験が基礎知識ならば午後試験は基礎知識からさらに踏み込んだ応用、と言われる。

午後対策を進めるなかで少しでもあやふやな部分があったならば、そこが自分の弱みとなる部分だ。可能な限り潰しておいた方がいい。

また実務経験者だからこそ陥りがちではあるのだが、「この程度は知っている」と曖昧にしておくと思わぬしっぺ返しを食らう。

 

例えば今回の午後I問1では一般的なプロキシとして「(  )プロキシと(  )プロキシ」という二つの穴埋めを求める問題が出題された。

業務上、「プロキシ」と明確に区別するため「リバースプロキシ」という単語を使うことが多くのではないだろうか。「フォワードプロキシ」という語を改まって使う機会というのはさほど多くはないように思わないだろうか。

改めて問われると一瞬詰まる。わかっていても詰まる。こういう一瞬の詰まりが動揺を誘う。試験中の動揺というのは案外後に引きずるものである。

演習と解説の読み込み。ここまでに2ヶ月が経過している。そろそろ過去問演習をしなければ。

過去問演習

過去問を繰り返したとて同じような問題がでるわけではない。

しかし問題の傾向的なものはつかめてくる。例えば情報処理安全確保支援士試験では午後問題でも「解答群から選び記号で答えよ」というような穴埋め問題が出題される。

一方、ネットワークスペシャリスト試験の穴埋めでは上記のような傾向の問題は出題されないようだ。穴埋めの場合でも自力で適切な単語を思い出し、記述せねばならない。つまり確実な知識の定着が求められているのだ。曖昧なものは許されない。

 

過去問対策でも「うかる!ネットワークスペシャリスト」を利用した。過去11年分、というボリュームは圧倒的であるし解説も充実している。

もっとも自分は、時間の関係で平成26年まで、つまりは過去3年分しかやっていないのだが……

本番

というわけで本番を迎える。

試験において最後に重要なのは「諦めの悪さ」かもしれない。どうしても単語が思い出せないならとにかく何か書いてしまえ、というような。

そんな諦めの悪さが反映されたのか、冒頭のように基準点プラス1点というギリギリで合格することができた。 

何のために試験勉強をするのか?

何度か繰り返している通り、自分は今や社内SEであり最前線で設計・構築をする立場ではない。そんな自分がなぜネットワークスペシャリストの取得を目指したのか?

端的には自分がこれまでに得てきた知識を再度編み直し、体系化したかったからだ。

勉強は純粋に楽しい。あのとき業務で使っていたあれはそういうことだったのか、という今更の発見があったりする。

 

本項が、ネットワークスペシャリストの合格を目指す方々の一助になれば幸いだ。

*1:ICND1試験合格後、ICND2試験を受けてCCNA認定を受けよう、とぐずぐずしているうちに有効期限が切れてしまった。

*2:社員向けセキュリティ教育を行うに何か参考になるかもしれない、と思い初回の試験で取得した……そう、あの合格率90%超を記録した回である。

*3:逆にいえば、本書の解説がすんなりと理解できるレベルに至れば合格は近いと言えるかもしれない。それだけの知識を有している、ということになるのだから。