あめみやしろぐ

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【読書】自衛隊「影の部隊」情報戦秘録

先日読んだ『自衛隊の闇組織』という本が少々物足りないというか、取材メモの展開で今一歩踏み込みが足りない気がした。

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実際に自衛隊の情報部隊にいた人の本を読んでみよう、と本書を手にとってみた。

自衛隊「影の部隊」情報戦秘録

自衛隊「影の部隊」情報戦秘録

 

 

筆者は旧軍の陸軍大を終戦直前に卒業し、参謀として勤務についた直後に終戦を迎えたという経歴を持つ。戦後、警察予備隊自衛隊の前進)に入隊し「調査隊」という情報部隊の編成に携わるわけだが、入隊前に関わっていた仕事の記述がすさまじい。

身分を隠して公職追放の立場でありながら産経新聞に入社、国会担当記者となり国会へ入れるようになったため、GHQの意向を受けて議員に対して工作を実施。時に記者クラブバッジを偽造し仲間を引き入れて共産党の部屋に深夜忍び込む……

戦後の占領期とはいえちょっと待ってくれ、と言いたくもなる。

 

旧軍の教育を受けた筆者だからなのかもしれないが、本書の底に流れているのはシビリアン・コントロールの軽視だ。軍は文民による政治の制御下におかれる、という原則からの逸脱を容認しているのだ。

こういう人たちが立ち上げた部隊を母体として今の自衛隊内に情報部隊があるなら?今なお、シビリアン・コントロールに対する軽視が奥底に眠っているなら……?

そんな疑惑を抑えることができなくなってしまうのだが。