あめみやしろぐ

お仕事(院内SE)のことをかいたり思いついたことをかいたりします。

【読書】「誠実なスパイ」というアンビバレンツ

年末年始で1週間ほどのまとまった休暇に入った。こういう時こそ購入したまま紐解かず本棚に突っ込まれたままの本を消化すべきなのだろうが、先入れ後出しになってしまうのも人間の性かもしれない。

 

休暇前に図書館に入ったところタイトルに惹かれて借りてきた本を読んだ。

 なんだかいかにもビジネス書という趣の長文タイトルであるが、なかなか面白い。

本書は実際にCIAで「諜報員」として活動していた筆者が自身の経験を踏まえビジネスパーソン向けに書かれたものだ。

ただし決して「産業スパイ実践」のような本ではない。あくまで法と倫理の枠組みのなかで情報を取得するテクニック、つまりは民間レベルでの「ヒューミント」の技術を記述している。

顧客の弱みを知り商品を売りたい営業職の人が読んでも面白いかもしれないけれど、私の職種的には「いかにして情報漏洩を防ぐか」、つまりは情報セキュリティの観点から読んで面白かった。「SNSの使い方には気をつけろ」とか「公衆Wi-Fiで機微な情報を取り扱うな」といった基本的な行動の再確認的記述が多いけれど、従業員向けのセキュリティ教育のネタにはなりそう。

そうしてまた、本書では繰り返し「誠実な人間であること」が繰り返し強調して語られる。誠実さは通貨のようなものであり、「信頼の資本」が多いほど人や組織に対して多くを要求できる、と。

 

「誠実なスパイ」というのは矛盾を内包していてなんだか面白い言葉だけど、実際大事なことかもしれない。突き詰めれば人と人との付き合いなのだし。