twitterで単行本が出た、という話を聞いて気になったので『オンラインの羊たち』(詩原ヒロ/Nagisa)を購入。読んでみたのだけど冒頭1P目の「Windows95起動音の描写」から思わず目頭が熱くなってしまう。
1999年、地方都市に住む中学生達の眼差しからweb普及期を描く本作を読んでいると、「インターネットでなんでもできる」と信じていたあの頃の根拠もない思い込んでいたことや「オンライン/オフラインは峻別すべきである」といった行動原理めいたものがあったことを思い出し、なんだかあの頃とはずいぶん違う場所にきてしまったな、なんて遠い目をしてしまったり。
また本作では「ゲームのファンサイト」がオンライン上の舞台として登場するのだけど、これを再現したサイトが存在していて楽しい。「戴き物の展示」とか、あの頃よく見かけましたね……大抵工事中だったりした覚えもあるけれど。
「オフラインの知り合いとオンラインでもつながる」ということが主流となりつつある昨今だからこそ、「オンラインだけのつきあい」で完結していたあの頃を懐かしさを込めて思い出してしまうのかもしれない。オンラインはオンラインでまた、面倒くさいこともたくさんあったけれどね。