たまには真面目に仕事の話をしよう。
「個別指導」というものがある。
健康保険法第73条に基づいて所管の厚生局が保険医療機関に対して不定期で実施する行政指導のことをいう。全ての医療機関が指導されるわけでなく、厚生局がいくつか選定・事前通知を行った上で実施するのだが大抵の場合レセプト(診療報酬)が高い……つまり言い方は悪いが「稼いでいる」ところに指導が入ることが多い。
指導当日は、事前に指定された患者数十人分の過去数ヶ月分に渡る診療記録を持参し担当者からの質疑を受ける、らしい。
実際に対応した経験がないので全ては聞いた話である。
記録持っていくって大変ですね。全部紙に打ち出すんですか?電子カルテの意味ないっすね。ほげー、などと話半分に聞いていたら上司が「今回は君にも関係がある」などと言い出した。
なんでも、電子カルテに関わる部分(厚労省のガイドラインに従って運用がされているか?どのようなシステムが導入されているのか?導入までの経緯は?)といった書類を用意する必要があるというのだ。参考資料としてシステム概念図や結線図なんかも用意した方がいい、と。
ま、お役所のやることだし大方「神エクセル」とかでしょうよ、「一太郎」とかのファイルがきたら笑ってやろう、と思っていたら紙の束を渡された。
……どうやら手書きしなければならないらしい。
電子カルテの導入が進んでいるとはいえ、今なおカルテを手書きしている医療機関もある。パソコンの操作がおぼつかない人々もいることだろう。そのような人々に合わせる必要がある、という主張もあるだろう。
しかし平成も終わるこのご時世に、手書きか……
「院内SE」と言っても、病院内での扱いは「事務職」である。
そんなわけでしばらくはキーボードではなくペンを握る日々になりそうだ。